ザポリージャ原発・放射能の脅威

 今、ウクライナ戦争の状況で、ウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大のザポリージャ原子力発電所へのミサイル攻撃が問題となっています。
国連が、ミサイルの着地角度を問題視して指摘したらロシア兵が、ミサイルはウクライナから飛んできたが180度回転して着弾した・・・・・と強弁しているそうです。
そんなミサイルが存在するとは到底思えませんが、・・・・・
それはともかく、何故、原発への攻撃が問題化と言うと当たり前ですが放射線が怖いからです。放射線被ばくの最大の問題点は、放射線を浴びることにより、体内に活性酸素が大量に発生することです。
前回の投稿で放射線量が微量ならばホルミシス効果によりミトコンドリア活性の上昇に効果があると書きましたが、体内で処理しきれない大量の放射線を浴びた場合、活性酸素で細胞が破壊されるのです。放射線被ばくで怖いのは「もらい泣き現象」と呼ばれるものです。
一個の細胞の被ばくが隣の約百万個の細胞にDNA損傷や染色体異常を起こし、アポトーシスが起きる現象です。わずかな被ばくであってもその影響は計り知れないものがあります。
日本は唯一の戦争被爆国ですが、広島での被ばく後遺症の調査で「味噌汁を食べていた人は、後遺症が軽くて済んだ」という報告があったそうです。その後、広島大学のマウスによる実験でも、味噌を入れたエサを食べたマウスは他のマウスより、粘膜細胞の死亡率が低く、驚くことに一度は傷ついた細胞も再生したとのことです。カビや酵母、バクテリアなどはβグルカンと呼ばれる物質があり、強力な抗酸化力があるそうです。抗酸化力があるのは酵母が生きている味噌だけで、残念ながらスーパーで売られている味噌は発酵を止められているので効果はないようです。1986年のチェルノブイリ原発事故の際には日本からの味噌輸入が大量にあったとのことです。長生きしたいなら、味噌を自家製造するしかないようですが、今の時代はそれも難しいですね。この記事は、藤田紘一郎先生の著書「50歳からは炭水化物を止めなさい」からの転載です。

 

人間の寿命を決めるもの

近年、様々な研究から、人間の寿命を決めるものは、
1.ミトコンドリア
2.テロメア
3.長寿遺伝子
4.腸内細菌
の4つであることがわかってきたが、なかでもミトコンドリア長寿遺伝子の活性を高めるのは50歳をすぎないとできないことが最近言われている。
つまり、50歳を過ぎたらこれらを活性化することで
1.病まない
2.呆けない
3.老けない
長寿人生
は誰でも実現でき、人間本来の寿命である100歳はもちろん、上限である125歳まで生きることも可能なのです。

今日は、1.ミトコンドリア について、考察してみたいと思います。
私たちが生きるためには、酸素と栄養を取り込み、体を動かすエネルギー(アデノシン三リン酸=ATP)に変換しなければなりません。ATPを作るエンジンは2つあり、解糖系燃焼系(ミトコンドリア系)です。
つまり、人間はハイブリッドエンジンを持っているわけですが、成長期を含め若い時はパワーの大きい解糖系がメインエンジンで、ミトコンドリア系は姿勢の維持と休息時用のサブエンジンです。
しかし、50歳を超えた頃(いわゆる更年期)からメインとサブが入れ替わるのです。解糖系エンジンは、米や麦などの糖質を燃料として、瞬発力のある動作や、皮膚や粘膜、骨髄の細胞の材料をつくるのが主な仕事です。それに対し、ミトコンドリア系エンジンは、酸素を使いアミノ酸(肉)や脂肪酸(体脂肪や動・植物油)を燃やし、瞬発力はないものの持続力に優れ、心臓や脳の神経細胞、姿勢の維持など持続してエネルギーが必要な部分を担当します。一般に「脳の栄養はブドウ糖のみ」と思われていますが、脳細胞にもミトコンドリアはあります。ミトコンドリアは酸素がないと生きれませんし、アミノ酸や脂肪酸がなければ体温を維持することもできないのです。もちろん、ブドウ糖は大事ですが、代替えエネルギーとして肝臓でケトン体を生成しますので、無くてもよい物質でもあります。しかし、ミトコンドリアはアミノ酸や脂肪酸が無いと生きれません。それ故、必須アミノ酸、必須脂肪酸と呼ばれるのです。
ミトコンドリアの祖先は真核生物の細胞に侵入して現在のミトコンドリアとなったプロトミトコンドリアです。プロトミトコンドリアは既に死滅しましたが、属していたグループとして知られているアルファプロテオバクテリア綱(アルファプロテオバクテリアこう、Alphaproteobacteria)は細菌ドメインプロテオバクテリア門の一つです。
余談ですが、ミトコンドリアは細菌、酵母、カビなどとともに、放射線や紫外線の強い過酷な環境を生き抜いて進化してきた強い生物ですので、微量の放射線を受けるとミトコンドリアは活性化します。この作用をホルミシス効果と呼び、ラドン温泉の効果が知られています。温泉が体に良いと言われているのはミトコンドリアが元気になるからです。私たちの住む新潟には、ラジュウム含量日本一の“村杉温泉”があります。
この記事を書いていたら、行きたくなりました。 (^_^.)/~~~~

 

 

 

 

 

 

リーキーガット症候群(腸管漏出症候群)について

リーキーガット症候群(腸管漏出症候群)について

小生が初めて、「リーキーガット症候群」について知ったのは数年前、ある論文で、そこには原因はカンジダ菌のコロニーが腸に穴をあけるから・・・・・と書いてありました。また、対策はエクストラバージンココナッツオイルが有効ともありました。
なんでも、ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が約60%も含まれており、中鎖脂肪酸は水に溶けやすく、肝臓ですぐにエネルギーに変換されるので、少量でも健康にはとても良い成分だとのこと、さらに、この中鎖脂肪酸(ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸)の中でも、ラウリン酸とカプリル酸にはカンジダ菌を殺菌する効果が期待出来、免疫力も高めてくれるとの説明であった。推奨摂取量は大さじ2杯/1日当たり・・・・・とあり、もしかして、小生の花粉症はLeaky Gutが原因かも・・・・・となんでもとりあえず実践派の私は飛びついたのでした。日清のココナッツオイル130g入りビンを4個ほど連続消費しました。結果はと言うと、花粉症はいつもの年より軽かったようですが、それ以外はあまり変化はなく、???な感じでした。

最近では、小麦のグルテンが原因だという説が優勢で、
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グルテンが分解するとできる「グリアジン」という成分が上皮細胞と結びつくと、「ゾヌリン」というタンパク質が過剰に分泌されます。ゾヌリンには、細胞と細胞の隙間を開けて通過をよくする作用があるため、上皮細胞の隙間を封印しているタイトジャンクションがほどけてしまうのです。

グルテン以外にも、アルコール、カフェイン、唐辛子成分、カニやエビの殻などに含まれるキトサン、繊維質の少ない食事も、タイトジャンクションを緩めてしまう作用がある食品として報告されています。

その他、食物アレルギー、腸内環境の乱れ、感染症、化学物質などの環境毒素、薬品、精神的なストレスなども、腸壁バリアがダメージを受けやすく、リーキーガットを引き起こす要因と言われています。・・・・・
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等と書かれた文献を見つけました。酒とコーヒーが好きでキムチもよく食べる私は一体どうすればいいのだ‼・・・・・との思いです。
同文献では、

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リーキーガット改善のための食事のポイントは、糖類や小麦製品を避けて、水溶性の食物繊維、発酵食品を積極的に摂ること。小麦や砂糖、乳製品を使用しているパン食は避けて、砂糖を使わない和食がおすすめです。わかめなどの海藻類、糖質の少ない野菜、こんにゃく、玄米、納豆、漬物、味噌などが積極的に摂りたい食品です。さらに、乳酸菌のサプリを摂るのも、腸内環境を改善するのにおすすめです。

また、食事を摂る時にはよく噛んで、食事中には大量の水を飲まないなど、消化を良くする工夫も大切です。腸内に良い生活を心がけることが、リーキーガットの改善に繋がります。
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・・・・・とありました。ぅうむ・・・・・

年齢による体の違い(筋肉)

工務店を退職後、以前より習っていた「推拿」を武器に整体院をひらいて、早、13年目に入った。お陰様で大勢のお客様においでいただき経営は順調である。開業当初の記録などから当時を振り返って、整体師になってわかったことをいくつかご紹介したい。

整体師になってわかったこと-その1
人間の体は年齢に相応して大きな違いがある。
一例は、筋肉の硬さだ。
筋肉の硬さには、疲労、血流障害によるコリと、老化によるコラーゲンの劣化の硬さの2種類ある。
年齢による違いは、コラーゲンの劣化=老化(=糖化)による硬さの違いである。
たとえば、20代の若者は肩こりや腰痛等、辛い症状を訴えて来店されても、筋肉には部分的にコリはあるものの全体が柔らかく、一見、ぅむ・・・この人どこが悪いの?と思ってしまう。注意深く触ると確かに硬結があり、そこを押すとものすごく痛がられる。
しかし、70代のひとは全身が20代の若者の硬結の何倍も硬いのに、強く押圧しても痛がらないのである。
整体を始めたころの未熟な時には、この違いを理解できなかったのであるが、いまは様々な経験からその理由を理解できるようになった。
一言でいえば、時間をかけてゆっくりと悪くなった状態は、脳は自分の体が「状態が悪い」とは思っていないのである。
体が悪いとの認識を持っていないから、押しても痛がらないのである。
もちろん、認識がないから、悪いところを治そうともしない。すなわち、ホメオシタシス=自然治癒力が働いていないのである。
したがって、年配の人は一発完治は難しいのである。
あえて一発完治をめざすなら、その人の脳に、自分の認識が間違っていたと明確に認識していただく必要があるのだ。

雑学・人類は肉食で脳を発達させた。

ヒトの進化の過程で脳が急速に大きくなり、シナプシスが張り巡らされるためには、EPAとDHAの摂取が不可欠でした。

EPAとDHAは地上の植物性食品には含まれておらず、動物性食品にしか含まれていません。

従って少なくとも、肉・骨髄・昆虫・地虫・魚貝・・・などの高脂肪・高タンパク食を、脳が急速に発達した20万年前頃、必要充分な量、食べてたことは間違いないでしょう。

このように人類は本来高脂肪食には慣れているので、高脂肪食の安全性は高いのです。

人間が肉食で知能を発達させてきたのであれば、米・麦・お菓子など現代の糖質だらけの食事は人類の発達を止めるのでしょうか?・・・・・そんな兆候が見えてる気がします。

雑学・「だれも教えてくれなかった病気の真相」という本について、

「だれも教えてくれなかった病気の真相」という本について、
■著者プロフィール ▽久保 明(くぼ あきら):医学博士。内分泌・糖尿病専門医。
東海大学医学部抗加齢ドック教授。
医療法人財団健康院高輪メディカルクリニック院長
。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会専門委員。
1979年、慶應義塾大学医学部卒業。米国ワシントン州立大学医学部動脈硬化研究部門留学。NHK『ためしてガッテン』などテレビ出演も多い。

この本は、医学博士である著者が、最近の研究や統計等を基に病気の真相に迫り、健康へのアドバイスをまとめたものです。

具体的には以下の真相に迫ります。

(1)血管と心臓、血圧
(2)がん
(3)糖尿病、血糖
(4)肥満とダイエット
(5)老化や体の不調
(6)悩める心と脳
(7)食生活、嗜好
(8)運動と生活習慣
(9)体の仕組みや働き
特に面白かったのは、

・テレビを長時間見続けると、心血管障害、つまり心筋梗塞や狭心症を引き起こしやすい
・CT大腸内視鏡検査が楽
・糖尿病や心筋梗塞や脳卒中、膵臓がん、肝臓がん、胃がんなども引き起こしやすい。
・睡眠不足が続くと糖尿病を発症するリスクが高まるだけでなく、がんや高血圧、脂質異常症なども起こりやすくなる
・こむら返りは糖尿病の神経障害の症状の一つ
・ダイエットは1日置きの減食でもよい
・健康長寿は、カロリー制限と低GI値の食事が必要
・早食いは肥満度が高くなる
・自転車の運動効果は5分でもある
・うつ病は糖尿病を合併しやすい
・認知症予防に効果的な食材としては、ナッツ・魚・鶏肉・カリフラワー・果物・緑黄色野菜・多価不飽和脂肪酸など。
・歯磨きを1日2回以上すると、心血管疾患や頭頸部がんや食道がんの発症率が少ない
・陽気でユーモアセンスを持ち合わせている人よりも用心深く粘り強い人の方が健康を維持し長生きしていた

等です。以下はこの本のポイントです。

・肉の脂身や霜降り肉、バター、アイスクリームなどの動物性脂肪は、血中のコレステロール値を上げやすい食品なので、健康診断などでコレステロール値が高いといわれた人は摂取を控えることが大事です。しかし、「減らせ、控えよ、やめよ」ばかりのマイナス思考だけではかえってストレスになりかねません。動脈硬化を防ぐ食品はないのでしょうか。注目したいのが、ビタミンB6と葉酸です。ビタミンB6と葉酸をたくさん摂取すると、冠動脈疾患や脳卒中による死亡率が低下することが明らかになっています。ビタミンB6が豊富な食品は、大豆、ノリなど。葉酸が多い食品には、ほうれんそう、しいたけ、大豆などがあげられます。

・テレビを長時間見続けると、心血管障害、つまり心筋梗塞や狭心症を引き起こしやすく、寿命が短くなるというスコットランドの研究報告を紹介しましたが、心拍数の回復能力にまで悪影響を与えていたのです。

・負担が少ない検査法として最近よく行われるようになったのが、内視鏡やバリウムを大腸内に挿入しないで行うCT大腸内視鏡検査です。最新のCT装置を使い、コンピュータ解析によって大腸全体や大腸内部の状況を画像化します。従来の検査法が怖いと思っている人にとっては楽に大腸を調べることができるので安心です。

・食物繊維さえしっかりとっていれば大腸がんにならないというイメージができあがっているようですが、しかし、それだけでは不十分であることがわかってきました。国立がんセンターが提唱している「日本人のためのがん予防法」をもとに、大腸がん予防の要点を説明しましょう。
●喫煙
タバコは吸わない。喫煙者は禁煙する。他人のタバコの煙をできるだけ避ける。
●飲酒
飲酒をする場合は、1日あたりアルコール量に換算して約23g程度まで(日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本など)。飲まない人、飲めない人は無理に飲まない。
●食事
偏らずバランスよくとる。塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする。野菜や果物不足にならない。1日400g(野菜を小鉢で5皿、果物一皿くらい)は摂る。飲食物を熱い状態でとらない。食塩は1日あたり男性9g、女性7.5g未満。高塩分食品(塩辛や練りウニなど)は週に1回以内に控える。ベーコンやハム、ソーセージなどの加工肉は「確実」な大腸がんリスクとされ、なるべく控えたほうがよいといわれています。
●身体活動
日常生活を活動的にすごす。ほとんど座って仕事をしている人なら、ほぼ毎日合計60分程度の歩行などの適度な身体活動に加えて、週に1回程度は活発な運動(60分程度の速歩きや30分程度のランニングなど)を加える。
●体型
成人期での体重を適正な範囲に維持する(太りすぎない、やせ過ぎない)。中高年期男性のBMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))で21~27、中高年期女性では19~25の範囲内になるように体重を管理する。
●感染
肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合はその治療の措置をとる。

・糖尿病が怖いのは、3大合併症を起こすだけでなく、動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいことであるということは、周知されていまs。さらに、膵臓がんになる確率が高いことも知られていました。しかしそればかりではなく、男性の場合は肝臓がん、女性の場合は胃がんが多いことがわかりました。

・新しい研究ではアルファ・カロテンを多く摂取すると、心血管障害やがんを含め全死亡率が低下することがわかりました。既存のほとんどの抗酸化サプリメントには、アルファ・カロテンが含まれていませんが、これからはベータ・カロテンに代わりアルファ・カロテンの時代になるかもしれません。カロテンは、緑黄色野菜(ほうれんそうや小松菜、春菊、かぼちゃなど、文字通り、緑や黄色、赤色の野菜)によく含まれています。緑黄色野菜は1日に120g摂れと推奨されていますが、国民栄養調査によると、どの世代においても野菜摂取量は不足しています。

・ビタミンDは、魚介類やきのこ類などに多く含まれている脂溶性ビタミンです。また、日光を浴びることで体内でも合成されます。ビタミンDの働きは、カルシウムとリンの吸収を助け、血液中のカルシウム濃度を調節することです。血中ビタミンDが不足すると、カルシウムを骨に沈着させられないので骨の成長に悪影響を及ぼしたり、筋肉の収縮作用がスムーズに行われなくなり、けいれんを引き起こしたりします。日照時間が短い北欧などでよくみられた、くる病はビタミンD欠乏症の一つです。このようにビタミンDは骨と筋肉に不可欠なビタミンなので、発育期や成長期のビタミンというイメージが一般的に強く、大人になったらそれほど重要でないという印象がありました。しかしそれは大きな誤解。成長期もさることながら年齢をとればとるほど必要なビタミンであることが判明してきたのです。しかも、単に骨と筋肉だけに働くビタミンではないのです。ビタミンDの効用をあげます。
●転倒防止
●神経障害の痛みを抑える
●がんの予防
●心臓病を防ぐ
●認知機能を改善する
●自己免疫疾患を抑える
●全死亡率を減らす

・睡眠不足が続くと、糖尿病を発症するリスクが高まるだけでなく、がんや高血圧、脂質異常症などの生活習慣病をはじめ、免疫力の低下、注意力や集中力の低下、過労による事故も起こりやすくなります。睡眠は心身をリセットする大きな役割があることを認識し、より良い睡眠を確保するように工夫しましょう。

・激しい運動をしたわけではないのに、こむら返りを何回も繰り返すようなときは要注意です。実は、こむら返りは糖尿病の神経障害の症状の一つです。なかには、頻繁にこむら返りが起こるので心配になり、受診した結果、糖尿病が発覚する人もいます。こむら返りはそのほか肝臓病、椎間板ヘルニアなどの症状でもあります。

・活性酸素によるダメージを防ぐのが、抗酸化作用のあるビタミンA(ベータ・カロテン)、ビタミンC、ビタミンEなどです。単独で摂取するよりも一緒に摂取するほうがより効果的だといわれています。

・1日おきの減食をすると、アディポネクチンが増加し、動脈硬化を進めるLDLコレステロールなどが低下するのです。無理して毎日減食しなければいけないというわけではないということです。ただし、健康的にダイエットするためには、食事と運動の2つを組み合わせるという基本を忘れないでください。

・サーチュイン遺伝子とは、酵素として働くタンパク質の一種で、遺伝子を保護しています。カロリー制限をすると、サーチュイン遺伝子が活性化して細胞が正常に働き、長生きできることが明らかになっています。一般に1日に摂る食事のカロリー平均は、男性2100kcal、女性1700kcalといわれています。サーチュイン遺伝子を活性化させるためには、摂取カロリーを約6~7割に抑えるとよいとされていますが、実はカロリー制限だけでは健康長寿を達成できません。カロリー制限と「低GI値」の2本立てを実践する必要があります。

・肥満を解消するためにはダイエットが必要ですが、極端なカロリー制限をすると、リバウンドを起こしやすく、ダイエットする前よりも太ってしまうことがありまう。同時に注意したいのは睡眠時間です。なぜなら、睡眠不足は体にとってストレスになり、ダイエットの継続を妨げる大きな要因の一つだからです。睡眠不足によってストレスがかかり続けると、コルチゾールというストレスホルモンが分泌され続けます。コルチゾールは脂肪を燃焼する成長ホルモンの分泌を妨げるので、脂肪が蓄積しやすくなります。また、睡眠不足は食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌を減らし、食欲を増進させるグレリンというホルモンの分泌を増やします。血液中のグレリン濃度が高まると、食欲が増すので、深夜に食べてはいけないと頭でわかっていても菓子や夜食につい手がのびてしまうことになります。太るのも当然の成り行きというわけです。

・一時期てっとり早い肥満対策として普及したのが低炭水化物ダイエット。ごはんやパン、パスタなどの炭水化物(糖質)を減らす方法です。カロリーなど面倒なことを考えないですむという手軽さもあり、いまだに主食を抜けばやせると思っている人も多いようです。しかし、糖質は体のエネルギー源として不可欠な栄養素です。極端に減らすとエネルギーが供給されないので、スタミナがなくなります。特に脳は、糖質が体内で変換されてできるブドウ糖が唯一のエネルギー源です。「太るから朝ごはんはいらない」などと言っていると、脳がエネルギー不足になり、集中力や思考が低下してしまうので要注意です。さらに最近の研究では、炭水化物を減らし過ぎると、血管の老化を引き起こすことが明らかになっています。

・東京歯科大学とライオン歯科衛生研究所の共同研究によると、東京都内の20~30代のサラリーマン340人を対象に調査した結果、「間食」「遅い夕食」「夜食」をする人よりも、「早食い」の人のほうが肥満度が高いことがわかりました。早食いを治すためには、普段から「よく噛む」ことを心がけてください。

・最近は自転車通勤する人や週末のサイクリングを楽しむ人が増えてきているようですが、自転車による運動効果を望むには、時速20kmくらいで最低20分以上、それも毎日続けないと効果がないと思っている人は少なくありません。ところが、5分でも自転車に乗ると体重の増加が抑えられるという研究結果が報告されました。

・白人の成人男女合わせて146万人を対象にBMIと死亡率をみた2010年の研究結果では、BMI22.5~24.9を基準とした場合、男女とも肥満度が高くても低くても死亡率が高くなることが判明しています。日本でも、約9万人を対象に、2001年までの10年間追跡調査した厚生労働省研究班による研究の結果、BMI23以上25未満を基準にすると、BMI30以上の男性は虚血性心疾患(心筋梗塞など)を発症するリスクが約2倍高いこと、男女ともBMI19未満は虚血性心疾患を発症してから1時間以内の突然死が約2倍高いことが報告されています。つまり、太りすぎと同じくらい、やせ過ぎも問題であるということです。

・脱水症とは、体内の水分と塩分が欠乏した状態で、電解質よりも水分の欠乏が多い高張性脱水症、水分よりも電解質の欠乏が多い低張性脱水症、両者が混じった等張性脱水症とに分けられます。このうち水分を補給することで改善するのは高張性脱水症だけです。発熱などによる発汗や嘔吐、下痢などで脱水症を起こしている場合、低張性脱水症または等張性脱水症を起こしている可能性が高くなりますが、このような脱水症の際に電解質がほとんど入っていない水やお茶、ソフトドリンクなどを飲むと、脱水状態が悪化することがあるので注意しましょう。

・うつ病の場合、頭痛や腹痛、肩こり、不眠、倦怠感といった自律神経に関する症状やアルコール依存症を合併しやすいことはよく知られています。ところが、以外と知られていないのが、うつ病は糖尿病を合併しやすく、糖尿病はうつ病を合併しやすいということです。しかもうつ病と糖尿病を合併している人は、心血管疾病(狭心症や心筋梗塞など)で脂肪する確率が高いことも判明しています。

・認知症予防に効果的な食材として、ナッツ、魚、鶏肉、カリフラワー、果物、緑黄色野菜、多価不飽和脂肪酸をあげているのです。

・歯磨き習慣が1日1回未満のグループは、歯磨き習慣が1日2回のグループと比べ、心血管疾患の発症率が1.7倍高いことが判明しました。国内の研究でも、1日に2回歯を磨く人は1回磨く人よりも頭頸部がんや食道がんの発症率が約3割低く、まったく磨かない人は1回磨く人の1.8倍、2回磨く人の2.5倍であるという報告があります。

・小児期に最も陽気でユーモアセンスを持ち合わせていた人は、あまり陽気ではなく冗談を言う性格でない人と比べると短命であると判明。用心深く粘り強い人ほど、良好な健康状態を維持し長生きしていたことがわかりました。意外でしょう。対象者のうち、最も健康で長生きしたのは、仕事に熱心に打ち込んだ人。男女とも、のんびり気楽に過ごした人よりも、生産的な生活を維持した人のほうが明らかに長生きしていたそうです。陽気で楽天的な考え方は、危機的状況が生じたときに役立つこともありますが、「なんでもうまくいく」という考え方に偏り過ぎると、健康や長寿にかかわる事柄に対しても軽視しがちであると考察する一方、用心深く粘り強い性格は、長期にわたってプラスに働くと示唆しています。

・寿命を延ばすためには、ただ歩くのではなく、速く歩くようにすることが大事だということです。そのためには筋力をつける必要があるということです。日常生活の中にスクワットなどの筋力トレーニングをうまく取り入れるようにしましょう。

<目次>
Chapter1 血管と心臓、血圧をめぐる「病気の真相」
「心筋梗塞や脳卒中を予防するために脂肪を減らせ」だけでは逆効果。ビタミンB6と葉酸が動脈硬化を未然に防ぐ特効成分
血栓は脳や心臓の血管だけを詰まらせるというのは間違い。手や足の血管も詰まらせ、最悪の場合は足の切断も
HDL(善玉)コレステロール値が高ければ安心。いいえ、HDLコレステロール値が高くても動脈硬化を起こすことが
健診や病院で血圧を測れば血圧管理は万全。いや、とんでもない。早朝に血圧が高いかどうかをチェックしないと意味がありません。
コレステロールの数値によって治療が決まる。いいえ、数値が同じであっても、人によって治療法がまったく異なります。
1分間の心拍数が多いと短命?いやそれよりも重要なのは心拍数の回復能力。その能力が低下すると短命になる

Chapter2 死因のトップ、がんをめぐる「病気の真相」
大便の潜血反応で陰性だから大腸がんではない。そうは断定できません。正確な検査にはCT大腸内視鏡検査も
大腸がん予防は、食物繊維をしっかりとれば大丈夫。いやそれだけでは不十分。予防にはこの6カ条を守りましょう。
糖尿病の人は膵臓がんになりやすい。いやそればかりか、肝臓がん、胃がん、大腸がんにもなりやすい
がんなど生活習慣病を予防すると評判のベータ・カロテン。いや、今ではアルファ・カロテンが注目株です
ビタミンDは骨のビタミン。いやそれどころか、がん、心臓病、認知症を予防するスーパー・ビタミン

Chapter3 糖尿病、血糖をめぐる「病気の真相」
空腹時の血糖値が正常なら糖尿病のしんぱいなし。違います。食後の血糖値も検査しないと安心はできません。
肥満の人は糖尿病になりやすい。いやそればかりか、睡眠不足の人も糖尿病になりやすい危険あり
糖尿病の引き金をひくのは内蔵脂肪。いやいや、臓器などにたまった異所性脂肪も大きな引き金に
こむら返りの原因は足の筋肉疲労。いや、それだけではありません。高血糖による神経障害、つまり糖尿病が隠れていることが多い
老化やあらゆる病気の元凶といわれる酸化。しかし、「糖化」の危険にも注意を。特に糖尿病では命取りに

Chapter4 肥満とダイエットをめぐる「病気の真相」
肥満解消、メタボ解決には毎日減食を。いやむしろ、一日置きの減食が科学的で効果的
カロリー制限をすれば長寿になれる。しかしこれだけでは不十分。健康長寿のためには低GI食との2本立てが大事
カロリー制限すれば確かにダイエットには成功します。しかし、睡眠不足だとダイエット効果が半減します
炭水化物を減らすとダイエットになる。いや、しかし炭水化物を減らすと血管が老化し、かえって命取りに
肥満は「間食」「遅い夕食」「夜食」が主な原因。いや、「早食い」も肥満の引き金になます。
自転車は歩くより楽なので長時間乗らないと意味がない。そんなことはありません。一日たった5分でもダイエット効果が望めます
やせればやせるほど長生きするのは間違い。やせ過ぎの人も肥満者と同じく死亡率が高い

Chapter5 老化や体の不調をめぐる「病気の真相」
白内障は70代以上の老人に多い病気。30~40代の発症も増えています。糖尿病やアトピーが原因で
足の不快症状で寝付きが悪いのは年のせい。いやいや、それは「むずむず脚症候群」という深刻な病気かも
変形性膝関節症は歩くのが不自由になるだけ。いや、それだけでなく、がんや糖尿病で死ぬ確率が高くなります
「脱水症のときは水を飲め」が命取りに。脱水症のときは経口補水液を飲まないと、かえって悪化する
食べものが飲み込みにくく、よくむせるのは年のせい。いいえ、燕下障害を起こしている可能性が。肺炎を招きます
胸焼けは食べ過ぎによる症状。いやもっと怖い病気が。逆流性食道炎を起こしているおそれがあります
老化は体力と血管年齢でわかる。いや、それだけではわかりません。血中DHEAs濃度などを調べる時代になりました
尿酸値が高いと痛風に。いや、それだけではありません。尿酸値が高いと、糖尿病にもなりやすい
痛風発作予防にはプリン体食品を避けるのはマイナス思考。尿酸値を下げる食品を積極的に摂りましょう

Chatpter6 悩める心と脳をめぐる「病気の真相」
うつ病は心の病。いいえ、それだけではありません。うつ病の人には糖尿病が隠れていることが多いのです
うつにはセロトニンが一番はクエスチョンマーク。同時に、ビタミンB6とB12の組み合わせが必要なのです
うつ病の対策には休養が一番。いやいや場合によっては、運動で神経栄養因子BDNFを増やすことのほうが重要
「脳では性ホルモンが合成されない」という定説がくつがえるのか。脳で合成される性ホルモンが記憶や学習と深い関係が
脳トレーニングで認知機能が向上する。いやいやそれよりも、食事の内容に注意したほうが認知症予防には有益

Chapter7 食生活、嗜好をめぐる「病気の真相」
食中毒は夏に起こる。とんでもない。怖い食中毒は1年をとおして多発しています
タバコの一番の問題は肺がんになること。いやそればかりか、慢性閉塞性肺疾患がいま緊急の問題
「喫煙者にアルツハイマー病が少ない」は過去の説。喫煙量が多いとアルツハイマー病になりやすいことが判明
脂肪肝はアルコールの飲み過ぎが原因。いえいえアルコールを飲まなくても脂肪肝になることがあります
コーヒーは胃の病気を引き起こすというコーヒー悪玉説。とんでもない。脳卒中や糖尿病、子宮がんのリスクが減ります
酒を飲む人は赤ら顔で血圧も高い。いえ、ちょっと違います。酒飲みの人は高血圧になったとしても虚血性心疾患を起こしにくい
タバコと飲み過ぎさえやめれば長生きできる早合点。野菜と果物、身体活動の2つを加えないと長生きできません
「食物繊維は大腸がんを防ぐ」は賛否両論。しかし、食物繊維がすべての死亡率を下げることが明らかに

Chapter8 運動と生活習慣をめぐる「病気の真相」
テレビを長時間、見続けると視力が落ちる。いやそれだけではない。心臓の病気で死亡する確率が2倍以上も高まるのです。
歯磨きをしないと虫歯や歯周病になる。そればかりか、磨きの回数が少ないと心臓病やがんになりやすい
噛み合わせが悪くなると肩こりになる。いやもっと深刻な病気、認知症や記憶力の低下などにもつながります
のんびり気楽に暮らす人は長生きする。いやいや、生産的な生活を維持した人のほうが長生きするのです
セックスは心筋梗塞による突然死の原因になる。いいえ、腹上死はセックスだけが原因ではありません
長時間残業や休日なしの極端な労働がもたらす過労死。しかし、そこそこの残業でも冠動脈疾患を引き起こす危険が
歩けば長生きできるというのは間違い。歩行スピードが遅いと寿命が短いことが判明
30分以上運動しないと効果なしと思いこんでいませんか。10分程度の運動でも効果はきちんとあらわれます。
運動が生活習慣病の予防に役立つ。確かにそうですが、程度や量を考慮しないと運動の意味は何もありません

Chapter9 体の仕組みや働きをめぐる「病気の真相」
免疫細胞は病気を防ぐ正義の味方。でも正義の味方が、腎臓と血管に障害を与え、高血圧を引き起こすことも
ストレスは自律神経の大敵。そればかりではありません。ホルモンなど内分泌の働きにも悪影響が
「若く見える人に限って早く死ぬ」は大きな誤解。見た目は正直。年齢よりも若く見える人が長生きする
近視の人は老眼にならない。老眼鏡をかけると老眼が進む。どちらも間違い。目の錯覚にごまかされてはいけません。
体内時計が狂うと体調不良に。いや事態はもっと深刻。「時計遺伝子」の働きが悪くなると、糖尿病や高血圧を発症します
数種類の薬を飲まないと病気は治らない。そんな時代から、1個の薬で病気を治す時代に
X線やCT検査を受けると被爆が危険。いいえ、病気の早期発見メリットのほうが大きい。それでも不安な人は
乳酸は疲労物質と教わりました。しかし、そうではなく、疲労物質としてリン酸に注目が集まるようになりました
男性度・女性度は性ホルモンでわかる。いやもっと簡単に、人差し指と薬指の長さを比べてみるとわかります。(人差し指の長い人は男性度が高い)

・・・・・「炭水化物を減らすと血管が老化し、かえって命取りに」・・・・・は小生が学んだ内容と矛盾があるので、小生としては異論がありますが(赤血球が酸素を運ぶため糖が必要という意味でしたら、肝臓が糖新生して問題ないと思うのですが)全体として従来の常識を覆す意義のある本だと思いました。

 

 

糖化(glycation)が体に及ぼす影響

糖化とは

「糖化」とは、糖と、たん白質に熱が加わることで結びつき、見た目が褐色に変化することである。食品加工の上では風味付けや色付けなど様々に有効利用されてきた技術である。
糖化は体の中でも起こる反応である。つまり、食事でとり込まれた糖質(炭水化物)は血液中のブドウ糖=血糖になるが、体の各組織をつくるたん白質とともに体温によって加温されることでゆっくり結合し、糖化反応が起きる。糖化は食品加工の上で利用価値の高い化学反応であるが、これが体の中で起きてしまうと、様々なダメージを与えてしまう。
体の中で糖化が起こると体の組織をつくるたん白質に変化が起こり、食品同様に茶色くなる。また組織が硬く、もろくなるため、たん白質の機能にも影響が現れる。最終的には糖化反応によって糖化最終生成物・AGEs(エイ・ジー・イーズ/advanced glycation endproducts)が生成する。AGEsとは、1つの物質の名称ではなく様々な種類の化合物の総称であるが、これが一旦できてしまうと元には戻らず、体に蓄積されていって、それがさらに悪影響を与えてしまうことになる。体内の糖化では、このような現象が起きて、健康面あるいは美容面でも様々な問題を引き起こしてしまう。
また、AGEsは糖の影響だけでなく、飲酒や喫煙、脂質の過剰摂取といった様々な要因によっても生成されることがわかっている。

AGEsが蓄積するという変化が人の体内で起こってくるとどうなるのか、各部位の変化を挙げてみよう。

糖化(glycation)が体に及ぼす影響

皮膚色の変化
たん白質が茶色くなる変化は皮膚の黄褐変としてあらわれる。つまり肌のクスミ(黄ぐすみ)が進んでしまうことになる。

肌の弾力・ハリがなくなる
皮膚を構成するコラーゲン繊維を顕微鏡レベルで見ると“三重らせん構造”を持っている。コラーゲンは、このバネ構造によって弾力を維持している。しかし、コラーゲンたん白が糖化すると、繊維と繊維の間をつなぐ “悪玉架橋”とよばれる邪魔物が無秩序に形成され、繊維でできたバネ構造がガチガチに固定されてしまう。その結果、繊維の可動性やしなやかさが失われ、弾力性が低下しハリがなくなって、硬くなってしまう。

動脈硬化の原因に
いわゆる悪玉コレステロールであるLDL-Cは、通常なら白血球のマクロファージが食べて分解し、消してくれるが、LDL-Cが糖化してAGEsが溜まった状態になるとマクロファージが食べても分解しきれずに“泡沫細胞”という状態になって血管の内壁に蓄積する。これがアテロームという粥状の塊を形成して動脈硬化を招いてしまう。

組織の炎症
糖化によってできてしまったAGEsは、蓄積するばかりでなく、“RAGE(レージ)”と呼ばれるAGEsの受容体と結合し、炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)を生み出す。これにより、組織は炎症を起こしやすい状態になってしまう。

この他にも、骨で糖化が起これば骨粗鬆症、脳でのAGEs蓄積がアルツハイマー病にも関与するなど、糖化ストレスは全身に影響を及ぼし、生活習慣病や老化につながっていくものと考えられている。

糖尿病
また、糖尿病との関連で言うと、糖尿病は糖の代謝機能が低下して血糖値が一定の基準を超えて高い状態を示す病気であるから、高い血糖値が糖化を促進し、末梢神経障害や腎症、網膜症といった合併症を進行させてしまう。
糖尿病は、血液中の糖分がうまく肝臓や筋肉脂肪等の細胞内に貯蔵されないために、血液の濃度が高くなっている病気であるから、血管をはじめとして血液を供給されている体のいろいろな臓器は高い糖にさらされていることになる。
たんぱく質は糖に接触すると変性する性質があり(これを糖化という)この糖化により、体内では、主に血管が変性、大きな血管や小さな血管が動脈硬化や変性を起こし臓器の障害がもたらされる。
三大合併症(眼、腎、神経)
1. 血管障害
2. 感染(高い糖濃度の血液が、菌を繁殖しやすい状態を作る)
糖尿病における糖化の進展はとても深刻な問題と言える。糖尿病の予防、治療の基本は血糖コントロールであり、それは糖化ストレスへの対策と重なるものだ。つまり、アンチエイジングにおける糖化ストレス対策は、糖尿病の予防に直結するものである。

筋肉硬化による血流障害
血管と筋肉は隣り合わせに存在するが、筋肉もまた糖化によりコラーゲン(筋肉成分の1/3がコラーゲンである)が硬化し、血管を圧迫する。特に脊柱起立筋群の糖化は大動脈、大静脈を圧迫し、全身の血流を阻害する。これが冷え性であるが、頭痛、肩凝り、腰痛、生理痛、ひざ痛などは、筋肉糖化による血流障害の影響が大きい。

糖化(glycation)とは

糖化反応(glycation)は1912年にLC Maillardがアミノ酸と還元糖を加熱すると褐色の色素が生成することを発見したことから、メイラード反応として知られるようになった。
発見以来、糖化反応は食品の加熱中に起こる着色や、香り・風味の変化、保存期間中の栄養価低下に関わる反応であることから食品化学の領域で注目されてきた。

1960年代になると、生体反応としてタンパク質糖化反応が注目されるようになり、その代表的な生成物としてヘモグロビンA1c(HbA1c)が血糖コントロール指標として糖尿病治療領域で臨床応用されるようになった。また糖尿病では様々なタンパク質糖化反応生成物が合併症の進展に関与していることが明らかになり、病態生理の解明・予防・治療への研究が展開されている。
さらに近年、糖化反応は老化現象、認知症、癌、高血圧、動脈硬化症などにも関与していることが明らかになり、食品、糖尿病以外の新たな分野でも研究展開されている。
私たちのエネルギー源としてブドウ糖は重要である。ブドウ糖はエネルギーになるだけではなく、その分解産物から脂肪が出来たり、タンパクや核酸(遺伝子の成分)になったりする。さらに脳はエネルギー源としてブドウ糖しか使えないので(糖質が少ないのが常態化すると、肝臓でケトン体を生成し、それを使う)、ブドウ糖が急激に少なくなると意識を失い、場合によっては死亡する。
このように生存に大きな役割を果たしている物質であるブドウ糖は同時に体の成分と結合して、その構造を変えてしまう。結合したものを糖化物質という。例えば皮膚のコラーゲンが糖化すれば、褐色になる。老人の皮膚が褐色に見えるのはこのためである。また白内障の白い部分は糖化したレンズのタンパクである。このようにブドウ糖は細胞の成分を糖化して機能を異常にさせる。
酸素もブドウ糖の生存に欠くべからざるものであるが、それが同時に老化を起こす物質なのだ。このように考えると生きてゆくということ自体が死に向かっているということである。
 具体的には 身体の中でタンパク質と余分な糖が結びついてタンパク質が変性、劣化してAGEs(糖化最終生成物)という名の老化物質を生成する反応をいう。この老化物質AGEsは分解されにくく、そのAGEsの蓄積は肌や髪、筋肉、血管、骨など全身の老化を進行させ、さらに体調不良や様々な病気(肩凝りや腰痛、頭痛、ひざ痛をはじめ、糖尿病、高血圧、がん等々)のとなる。身体の臓器や組織を構成しているタンパク質と糖分の不規則な結合(糖化)によって産まれるAGEs(Advanced Glycation Endproducts:最終糖化生成物)は、タンパク質の褐色変化(硬化性変質)を引き起こすことで老化を加速させ、上記のように骨粗しょう症のほか様々な病気(糖尿病、高血圧症、がん等々)をもたらすことが近年の研究でわかってきた。血管、筋肉もたんぱく質(筋肉の1/3はコラーゲンで出来ていてコラーゲンの硬化は不可逆性である)で出来ており、コラーゲンが糖化すると不可逆性であるため、動脈硬化や筋硬化症は元に戻ることはない。特に表情筋(顔の筋肉)は2/3がコラーゲンで出来ているため、顔の皺は元に戻ることはないのである。
ヘモグロビンA1cが指標として用いられることでお分かりだろうが、米や麦、甘いお菓子の取りすぎが、肩凝り、腰痛を招いているのである。西洋人のようにインシュリンの効きの良い体質の人は肩凝り腰痛とは無縁である。(その代わりに肥満体ではあるが)これは糖質を摂取した歴史の長さの違いである。西洋人がシリアのチグリス・ユーフラテス川沿いで麦の栽培を始めたのが1万2千年前であるのに比べ、日本人が米を食べ始めたのは弥生時代、つまりほんの2,400年前である。歴史を知らず、日本人は農耕民族だなどと言う人がいるがとんでもない間違いである。
農耕の歴史は西洋人の方が4倍長い。つまり、時間がインシュリンの質を良くしたのである。インシュリンは余った糖を脂肪に変えるホルモンであるから肥満体になるのはやむを得ない。どちらが良いかは何とも言えないところだ。

ポリアミンによる炎症抑制がカギ

アンチエイジング(抗老化)、ポリアミンによる炎症抑制がカギ “

自治医科大学大宮医療センター
総合医学2 外科 医学博士 早田 邦康 氏

高齢化社会の到来から、アンチエイジングが関心の的になっている。 自治医科大学 大宮医療センターの早田 邦康 氏はアンチエイジングのカギは過剰な炎症を抑制する ことにあるという。早田氏にアンチエイジングの最新情報をうかがった。

—-アンチエイジングについて先生のお考えをお聞かせください

早田:今、アンチエイジングと抗酸化作用がよく関連づけられています。 ただ、これに私はきわめて大きな疑問を持っています。

フランス人はイギリス人やドイツ人と同じくらい多くの動物性脂肪を食べています。 にも関わらず、フランス人は動脈硬化による心筋梗塞などの病気が少ない。疫学調査 の結果、ワインを多く飲む人ほど動脈硬化による心筋梗塞などの病気が少ないことが 指摘されました。

このことはフレンチパラドックス(フランスの逆説)と呼ばれ、1970年代に有名な医学雑誌「The Lancet」に相次いで報告されました。それで、ワ インに含まれる抗酸化物質と動脈硬化との関係が着目され、抗酸化作用とエイジング が結びつけられるようになったと理解しております。

ですが、実は、ワインより3-4倍も強い抗酸化作用のある飲み物があります。その 飲み物はコーヒーです。ところが、コーヒーの量と心筋梗塞の発症率の間には何の関 係も認められません。また、野菜を食べる人々は動脈硬化が少ないことが疫学調査で はっきりしていますが、野菜には抗酸化作用がほとんどありません。

さらに、強力な抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンEやベータカロチン(合成) を実際に飲んでもらって、動脈硬化などの生活習慣病の進行を抑制できるかどうかが たくさん研究されています。

ところが、それらの研究の結果、これらのサプリメント が明確に生活習慣病を予防もしくは改善するという結論には達していません。困った ことに、一部の研究では、これらのサプリメントで癌や心筋梗塞のリスクを高める可 能性がある、との指摘もあります。

ここにきて、先ほどのLancetという医学雑誌自体も、「飲酒が動脈硬化を抑制してい る証拠は乏しく、フレンチパラドックスも疫学調査の方法や結果の解釈に問題がある 可能性がある」というように、1970年代に自らの雑誌に掲載した論文を否定する ような記事を掲載するに至っています(2005年)。

さらに、科学誌「Science」 は、エイジングにはミトコンドリアの中のDNAの変異が関係しているが、酸 化は関係ないと報告した動物実験の結果を掲載しています(2005年)。

つまり、最新の研究結果は、「抗酸化作用が動脈硬化などの生活習慣病や老化そのも のを抑制する」ことに疑問を投げかけているのです。

—-そうしますと、エイジング(老化)の最も重要なファクターは何ですか

インフラメイジング(inflamm-aging)とは

早田:加齢に伴って増加する生活習慣病や老化そのものには、炎症が密接に関係して いるといわれています。炎症(inflammation)と老化(aging)から作ったインフラ メイジング(inflamm-aging)という造語がありますが、これは炎症と老化がきわめ て密接な関係にあることを示す言葉です。動脈硬化、アルツハイマー病、慢性関節炎 等の生活習慣病の発症には炎症が関与していることがはっきりしています。

また、慢性炎症が繰り返し起こっている場所(臓器や組織)には癌ができやすいこと が判っています。これは、炎症が繰り返されることによって遺伝子が傷つき、徐々に 遺伝子が変化して、結果として癌化すると考えられています。実際に、炎症を押さえ 込む薬(抗炎症剤)を飲んでいる人は大腸癌になりにくくなることも判っています。

つまり、アンチエイジングを考える上で重要なのは、必要のない炎症をいかに押さえ 込むかということです。

—-炎症が起きるメカニズムについては

早田:炎症は免疫細胞が引き起こします。身体に細菌などの異物が入ってくると、 体中の組織の中で見張り番をしている免疫細胞が反応して、異物をやっつけるために 攻撃します。このために炎症が起きます。ニキビが赤く腫れ上がって痛みが出ること と同じことです。

多勢に無勢では戦いに負けてしまうので、免疫細胞は異物を排除するために仲間(免 疫細胞)を呼び集めるための様々な信号や物質を出します。その信号は血管内皮細胞 と呼ばれている血管を内張している細胞に届いて、血管内皮細胞は仲間の免疫細胞に 対して援軍を要請する合図(ICAM因子)を出します。

免疫細胞は血管内を回っているので、血管の内張の血管内皮細胞に出ている合図 (ICAM因子)をたよりに、炎症の存在、すなわち異物のある場所を確認します。その 際、免疫細胞はLFA-1と呼ばれる手のようなものを使って、ICAM因子を認識します。 細胞の表面には、数百というたくさんの種類の手がありますが、免疫細胞のLFA-1 はICAM因子としか結合しません。このLFA-1とICAMの結合が免疫細胞を刺激して、結 果として炎症をさらに強くするのです。

私たちの体は、細菌などの外敵から免疫細胞の働きで守られ、その結果として生じる 現象が炎症なのです。この炎症が外敵に向いている分にはありがたいのですが、自己 免疫性疾患のように自分の組織を免疫細胞が攻撃すると、病気の原因を作ってしまい ます。

加齢の典型的な病気である動脈硬化の場合、酸化コレステロールが血管壁に沈着し、 免疫細胞がその酸化コレステロールに反応して炎症が生じることによって生じます。 コレステロールが長年高くて、炎症が慢性化すると、徐々に血管が固くなり動脈硬化 が完成し、同時に血管の中も傷ついて血栓ができるようになるのです。

—-老化は炎症をまず食い止めることからですね

早田:LFA-1とICAMがくっつかなければ炎症は起きません。薬でLFA-1とICAMをくっ つくことができなくすると、多くの炎症性疾患がなおることが証明されています。

ところが、困ったことに、私たちの研究では、年をとればとるほど人の免疫細胞表面 のLFA-1が増えることがわかっています。すなわち、年をとれば取るほど、炎症が起 きやすい状態になっているということなのです。LFA-1が炎症を誘発する因子であり、 炎症が老化や加齢に伴う疾患を進行させるので、加齢とともに増えるLFA-1を老化因 子と呼んでいいのではないでしょうか。

魚油は動脈硬化の進行を抑制していることが判っています。その機序としては、魚油 に多量に含まれているイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が血管内 皮細胞のICAM因子を抑制するように作用し、このことが動脈硬化の進行を抑制してい る原因ではないかとも考えられているのです。

すなわち、免疫細胞を呼び寄せるICAM 因子が減るために、免疫細胞のLFA-1がICAMと結合する機会が減り、そのために炎症 が起きにくくなり、動脈硬化が進行しにくくなっているのではないかと考えられるの です。

であるならば、老化因子であるLFA-1を減らすことによって、EPAやDHAと同じ様に動 脈硬化などの生活習慣病を予防できる可能性が高い訳です。問題はLFA-1をどうすれ ば減らせるかですが、私達は納豆や発酵食品に多く含まれるポリアミンに着目してい ます。

ポリアミンには抗炎症作用があるということを私達は1997年にLancetなど に発表しています。さらに、2005年には、ポリアミンが人の体内でリンパ球表面 にあるLFA-1を抑制しているという事実を医学雑誌(J.Immunol)に報告しています。

—-高齢者ではポリアミンが作られにくい

早田:ポリアミンは全ての生物(微生物、植物、動物)の細胞内で、アミノ酸の一種である アルギニンから合成されます。発見されたのは1678年。その後、ずっといろんな研究 がされていますが、判っていたのは、この物質がないと細胞は増殖できず、生物は成 長できないということです。ですから、成長期には活発に合成されます。

ところが、年をとるとポリアミンの合成能が低下します。ラットを使った実験で、老 齢ラットと若いラットを絶食にし、ポリアミン原料であるアルギニンも与えない状態 にした後に、餌を与えました。そうすると、食餌を始めたとたんに若いラットはポリ アミンをどんどん作ることができたのですが、老齢ラットはポリアミン合成が低下し たままだったという実験結果が報告されています。

—-ポリアミンがエイジングのカギを握るというわけですね

早田: これまでの大規模疫学調査で、動物の肉より魚を多く摂る、動物の脂よりも魚 油や植物油を多く使う、穀物やフルーツや豆類、それからチーズやヨーグルトをよく 食べる、こういう人たちは動脈硬化になりにくく、健康で長寿であると報告されてい ます。

魚の肉にはポリアミンは少ないですが、魚油にはEPAやDHAといったICAM因子をあがり にくくする物質が多量に含まれており、魚や魚油や植物油を好んで摂取する人は、炎 症が起きにくくなっていると考えられます。

では、魚以外の食物、すなわち、豆類、チーズ、ヨーグルト、それと穀物やフルーツ などの食物繊維に共通しているのはなんでしょう。じつは、これらの食物に共通する のが、ポリアミンなのです。

豆類には原則的に高濃度のポリアミンが含まれており、高ポリアミン食の代表格とい うと、自然食品では大豆です。昔から健康によいといわれているキノコ類もポリアミ ンが多く含まれている食品の一つです。また、微生物による発酵過程でポリアミンが たくさん作られます。 つまり、原料にポリアミンが含まれていなくても、発酵食品に は発酵の過程で多量のポリアミンが増えることになるのです。

牛乳にはポリアミンは 殆ど含まれていませんが、牛乳を発酵させてつくったチーズや発酵の進んだヨーグル トには高濃度のポリアミンが含まれています。当然、もともとポリアミン濃度の高い 大豆を発酵させて作った日本の伝統食品である味噌、醤油、納豆はポリアミン濃度が 最も高い食品です。

世界最高の長寿国である日本の中でも、最も長寿な沖縄の人達は、泡盛を作る時にで きるもろみ(黒麹菌の発酵による米麹)を昔から料理に使っています。このような発 酵物質の中には多量のポリアミンが含まれています。

野菜は意外とポリアミンが少 ないのですが、食物繊維があると腸内細菌の微生物の発酵を促してポリアミン合成を 促進します。また、乳酸菌飲料を飲み続けることによって、ポリアミンを活発に合成 し続ける新鮮な乳酸菌を増やし、体内にポリアミンを供給し続けているのではないか と考えられています。

納豆は、高ポリアミン食の要素をすべて持った食品です。すなわち、大豆の発酵食品 で、食物繊維が豊富で、納豆菌が生きたまま腸内に届きます。私達の研究で、人が実 際に納豆を食べ続けると、ポリアミンの血中濃度が上がることが判りました。

このように、これまで、食べ物の健康との関係について大規模な疫学調査でよくわか らなかったことが、ポリアミンで考えると非常にうまく説明できます。

ワインの消費量の多いフランスはイギリスやドイツと比べて動脈硬化が少ないという 疫学調査が出ているといいました。これはワインをチーズで置き換えることもできま す。

すなわち、フランス人はイギリス人の2倍、ドイツ人の1.5倍程度多くのチーズを 食べているのです。そして、その傾向は数十年も変わっていません。すなわち、フレ ンチパラドックスは、チーズの摂取量とチーズに含まれるポリアミンの作用で明確な 説明ができるということなのです。

西洋の人たちの食卓でもっとも高濃度のポリアミンを含む食品はチーズやヨーグルト です。魚が手に入らない山奥でも、健康で長寿の地域は世界にたくさんあります。そ うした地域で登場する長寿のキーワードは、必ずと言っていいほどチーズやヨーグル トです。

—-ポリアミンの作用機序については

早田: 体内に異物が入ってくると免疫細胞は攻撃を行います。腸は体内に異物(食物 はもともと生物である)を入れないために消化という作業で食べた異物(食物)をバ ラバラにします。自分以外のタンパク質などの異物が体内にそのまま入ってきたら大 変なことになるからです。健康によい成分を食べても、有効成分が体内に届かなけれ ば何の意味もありません。

バラバラに分解された栄養分は、自分の体の中で必要なものに再合成されます。つま り先ほどのラットの実験ではないのですが、高齢者が若年者と同じ原料を、たとえ多 く食べたとしても、若年者と同じものは合成されません。無駄にカロリーを増やして いるだけです。

ポリアミンは分子量が小さいですから、すぐに吸収されます。特に、スペルミンとス ペルミジンを分解する酵素は腸管の中にないので、腸内にあるものは、そのままほと んど全部吸収されます。また、食物中や発酵菌が作ったポリアミンと私たちの体内の ポリアミンは共通なので、体内で自分の体に合うように再合成される必要もなく、体 中の細胞に取り込まれることが証明されています。

先に述べたように、ポリアミンが人の体内でリンパ球表面にあるLFA-1を抑制してい るという事実を私たちは発見しました。そこで、実際に人の血液からリンパ球を取っ て、ポリアミンを加えるとどうなるかということを検討しました。

そうすると、ポリ アミンを多く含んだリンパ球のLFA-1が徐々に減ってくることを確認しました。しか も、このLFA-1の減った免疫細胞は、血管の内張の細胞である血管内皮細胞へくっつ きにくくなったのです。すなわち、炎症の最初の重要なステップが起こりにくくなっ たのです。

動脈硬化を例にとると、免疫細胞のLFA-1が少なければ酸化コレステロールが血管壁 に沈着しても炎症が起きにくくなります。すなわち動脈硬化が進行しにくくなります。

ポリアミンが細胞に悪い作用をしてのではないかと考える人もいるでしょう。そこで、 私たちは、ポリアミンの濃度が高くなった細胞がどのような状態なのかを検討してみ ました。そうすると、NK活性という免疫の見張り番は、過酷な状況においても高い活 性のまま維持され、強い刺激にはむしろ強力に反応することがわかったのです。すな わち、高齢者の免疫細胞にポリアミンを取り込ませることによって、若い人の免疫細 胞の状態になったのです。

—-エイジングにはポリアミンでまずLFA-1対策をということですね

早田: LFA-1を抑制すると、炎症性疾患やアレルギー疾患が治せるということが判っ ています。ただし、LFA-1を完全になくしてしまうと免疫機能がまったく働かなくな り、細菌等が体内に入るとあっという間に大増殖します。ですから強制的に薬 でLFA-1の機能をなくすことは好ましくありません。しかし、ポリアミンは自然の物 質です。しかも、ポリアミン濃度の高くなった免疫細胞は、何かことがあった時に活 発に働く非常に目的にかなった物質です。

ポリアミンはLFA-1という老化因子を抑制して炎症を起こりにくくします。また、ポ リアミンには、放射線障害から遺伝子を守る働きのあることも報告されています。実 は、抗酸化作用のあることも判っていますが、最初に述べた理由で、抗酸化作用自体 はあまり重要視していません。

日本人はポリアミン濃度が自然食品の中で最も高い大豆を発酵させてさらにポリアミ ン濃度が高くなった食品(味噌、醤油、納豆)が長年食生活の中心になっています。

LFA-1という因子はアレルギー疾患も誘発する因子です。昔の日本人には花粉症など のアレルギー疾患はあまりありませんでした。どんなに貧しい時代でもポリアミン濃 度の極めて高い大豆の発酵食品を手放さなかった日本人が世界中で最も長寿であると いうことは、ポリアミンを基本にして考えるとごく当然の様に思えます。

プロフィール
早田 邦康(そうだ くにやす)

<略歴>
1980年3月、自治医科大学医学部卒、同年5月医師国家資格取得。同年 6月、へき地医 療勤務のため、佐賀県のへき地などに9年間配属。1989年6月より同大大宮医療セン ターの総合医学2勤務。1996年から1年間、ニューヨークのThe Picower lnstitute for Medical Researchに留学。現在、自治医科大学にて、ポリアミンと免疫の研究を 行なう。

 

老化のメカニズム

老化のメカニズムが一つ解明!原因は遺伝子の「メチル化」、老化を遅らせられる物質も判明

細胞の中で酸素からエネルギーを生産するミトコンドリアは、細胞の核のDNA(デオキシリボ核酸)の変化によって機能が落ちるとの研究成果を、筑波大などのチームが英電子版科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。
ミトコンドリアの機能低下は老化が進む一因と考えられており、今回の発見は「細胞の若返り」の研究に役立つ可能性があるという。

ミトコンドリアの機能低下はこれまで、加齢によってミトコンドリア自体のDNAが突然変異を起こすことが原因とみられていた。
しかし、チームが胎児~12歳、80~97歳の2グループから提供を受けた体細胞を分析すると、ミトコンドリアDNAの突然変異に年齢による差はなかった。

一方、高齢グループの細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作ると、エネルギーを作る機能が回復した。
iPS細胞では、細胞核の時計を胎児のような状態に巻き戻す「初期化」が起きている。
初期化してもミトコンドリアDNAの突然変異は消えないため、機能低下は細胞核の遺伝子が「メチル化」と呼ばれる変化をしたのが原因だと結論付けた。

さらに、機能低下した細胞にアミノ酸の一種「グリシン」を加えると、機能が一部回復することも確認された。
チームの林純一・同大特命教授(細胞生物学)は「グリシンを摂取すれば老化を遅らせることが期待できるが、がん細胞を増やすとの報告もあり、慎重に研究を進めたい」と話す。【去石信一】 出典;下記↓

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150609-00000032-mai-sctch