リーキーガット症候群(腸管漏出症候群)について

リーキーガット症候群(腸管漏出症候群)について

小生が初めて、「リーキーガット症候群」について知ったのは数年前、ある論文で、そこには原因はカンジダ菌のコロニーが腸に穴をあけるから・・・・・と書いてありました。また、対策はエクストラバージンココナッツオイルが有効ともありました。
なんでも、ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が約60%も含まれており、中鎖脂肪酸は水に溶けやすく、肝臓ですぐにエネルギーに変換されるので、少量でも健康にはとても良い成分だとのこと、さらに、この中鎖脂肪酸(ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸)の中でも、ラウリン酸とカプリル酸にはカンジダ菌を殺菌する効果が期待出来、免疫力も高めてくれるとの説明であった。推奨摂取量は大さじ2杯/1日当たり・・・・・とあり、もしかして、小生の花粉症はLeaky Gutが原因かも・・・・・となんでもとりあえず実践派の私は飛びついたのでした。日清のココナッツオイル130g入りビンを4個ほど連続消費しました。結果はと言うと、花粉症はいつもの年より軽かったようですが、それ以外はあまり変化はなく、???な感じでした。

最近では、小麦のグルテンが原因だという説が優勢で、
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グルテンが分解するとできる「グリアジン」という成分が上皮細胞と結びつくと、「ゾヌリン」というタンパク質が過剰に分泌されます。ゾヌリンには、細胞と細胞の隙間を開けて通過をよくする作用があるため、上皮細胞の隙間を封印しているタイトジャンクションがほどけてしまうのです。

グルテン以外にも、アルコール、カフェイン、唐辛子成分、カニやエビの殻などに含まれるキトサン、繊維質の少ない食事も、タイトジャンクションを緩めてしまう作用がある食品として報告されています。

その他、食物アレルギー、腸内環境の乱れ、感染症、化学物質などの環境毒素、薬品、精神的なストレスなども、腸壁バリアがダメージを受けやすく、リーキーガットを引き起こす要因と言われています。・・・・・
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等と書かれた文献を見つけました。酒とコーヒーが好きでキムチもよく食べる私は一体どうすればいいのだ‼・・・・・との思いです。
同文献では、

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リーキーガット改善のための食事のポイントは、糖類や小麦製品を避けて、水溶性の食物繊維、発酵食品を積極的に摂ること。小麦や砂糖、乳製品を使用しているパン食は避けて、砂糖を使わない和食がおすすめです。わかめなどの海藻類、糖質の少ない野菜、こんにゃく、玄米、納豆、漬物、味噌などが積極的に摂りたい食品です。さらに、乳酸菌のサプリを摂るのも、腸内環境を改善するのにおすすめです。

また、食事を摂る時にはよく噛んで、食事中には大量の水を飲まないなど、消化を良くする工夫も大切です。腸内に良い生活を心がけることが、リーキーガットの改善に繋がります。
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・・・・・とありました。ぅうむ・・・・・

年齢による体の違い(筋肉)

工務店を退職後、以前より習っていた「推拿」を武器に整体院をひらいて、早、13年目に入った。お陰様で大勢のお客様においでいただき経営は順調である。開業当初の記録などから当時を振り返って、整体師になってわかったことをいくつかご紹介したい。

整体師になってわかったこと-その1
人間の体は年齢に相応して大きな違いがある。
一例は、筋肉の硬さだ。
筋肉の硬さには、疲労、血流障害によるコリと、老化によるコラーゲンの劣化の硬さの2種類ある。
年齢による違いは、コラーゲンの劣化=老化(=糖化)による硬さの違いである。
たとえば、20代の若者は肩こりや腰痛等、辛い症状を訴えて来店されても、筋肉には部分的にコリはあるものの全体が柔らかく、一見、ぅむ・・・この人どこが悪いの?と思ってしまう。注意深く触ると確かに硬結があり、そこを押すとものすごく痛がられる。
しかし、70代のひとは全身が20代の若者の硬結の何倍も硬いのに、強く押圧しても痛がらないのである。
整体を始めたころの未熟な時には、この違いを理解できなかったのであるが、いまは様々な経験からその理由を理解できるようになった。
一言でいえば、時間をかけてゆっくりと悪くなった状態は、脳は自分の体が「状態が悪い」とは思っていないのである。
体が悪いとの認識を持っていないから、押しても痛がらないのである。
もちろん、認識がないから、悪いところを治そうともしない。すなわち、ホメオシタシス=自然治癒力が働いていないのである。
したがって、年配の人は一発完治は難しいのである。
あえて一発完治をめざすなら、その人の脳に、自分の認識が間違っていたと明確に認識していただく必要があるのだ。

ポリアミンによる炎症抑制がカギ

アンチエイジング(抗老化)、ポリアミンによる炎症抑制がカギ “

自治医科大学大宮医療センター
総合医学2 外科 医学博士 早田 邦康 氏

高齢化社会の到来から、アンチエイジングが関心の的になっている。 自治医科大学 大宮医療センターの早田 邦康 氏はアンチエイジングのカギは過剰な炎症を抑制する ことにあるという。早田氏にアンチエイジングの最新情報をうかがった。

—-アンチエイジングについて先生のお考えをお聞かせください

早田:今、アンチエイジングと抗酸化作用がよく関連づけられています。 ただ、これに私はきわめて大きな疑問を持っています。

フランス人はイギリス人やドイツ人と同じくらい多くの動物性脂肪を食べています。 にも関わらず、フランス人は動脈硬化による心筋梗塞などの病気が少ない。疫学調査 の結果、ワインを多く飲む人ほど動脈硬化による心筋梗塞などの病気が少ないことが 指摘されました。

このことはフレンチパラドックス(フランスの逆説)と呼ばれ、1970年代に有名な医学雑誌「The Lancet」に相次いで報告されました。それで、ワ インに含まれる抗酸化物質と動脈硬化との関係が着目され、抗酸化作用とエイジング が結びつけられるようになったと理解しております。

ですが、実は、ワインより3-4倍も強い抗酸化作用のある飲み物があります。その 飲み物はコーヒーです。ところが、コーヒーの量と心筋梗塞の発症率の間には何の関 係も認められません。また、野菜を食べる人々は動脈硬化が少ないことが疫学調査で はっきりしていますが、野菜には抗酸化作用がほとんどありません。

さらに、強力な抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンEやベータカロチン(合成) を実際に飲んでもらって、動脈硬化などの生活習慣病の進行を抑制できるかどうかが たくさん研究されています。

ところが、それらの研究の結果、これらのサプリメント が明確に生活習慣病を予防もしくは改善するという結論には達していません。困った ことに、一部の研究では、これらのサプリメントで癌や心筋梗塞のリスクを高める可 能性がある、との指摘もあります。

ここにきて、先ほどのLancetという医学雑誌自体も、「飲酒が動脈硬化を抑制してい る証拠は乏しく、フレンチパラドックスも疫学調査の方法や結果の解釈に問題がある 可能性がある」というように、1970年代に自らの雑誌に掲載した論文を否定する ような記事を掲載するに至っています(2005年)。

さらに、科学誌「Science」 は、エイジングにはミトコンドリアの中のDNAの変異が関係しているが、酸 化は関係ないと報告した動物実験の結果を掲載しています(2005年)。

つまり、最新の研究結果は、「抗酸化作用が動脈硬化などの生活習慣病や老化そのも のを抑制する」ことに疑問を投げかけているのです。

—-そうしますと、エイジング(老化)の最も重要なファクターは何ですか

インフラメイジング(inflamm-aging)とは

早田:加齢に伴って増加する生活習慣病や老化そのものには、炎症が密接に関係して いるといわれています。炎症(inflammation)と老化(aging)から作ったインフラ メイジング(inflamm-aging)という造語がありますが、これは炎症と老化がきわめ て密接な関係にあることを示す言葉です。動脈硬化、アルツハイマー病、慢性関節炎 等の生活習慣病の発症には炎症が関与していることがはっきりしています。

また、慢性炎症が繰り返し起こっている場所(臓器や組織)には癌ができやすいこと が判っています。これは、炎症が繰り返されることによって遺伝子が傷つき、徐々に 遺伝子が変化して、結果として癌化すると考えられています。実際に、炎症を押さえ 込む薬(抗炎症剤)を飲んでいる人は大腸癌になりにくくなることも判っています。

つまり、アンチエイジングを考える上で重要なのは、必要のない炎症をいかに押さえ 込むかということです。

—-炎症が起きるメカニズムについては

早田:炎症は免疫細胞が引き起こします。身体に細菌などの異物が入ってくると、 体中の組織の中で見張り番をしている免疫細胞が反応して、異物をやっつけるために 攻撃します。このために炎症が起きます。ニキビが赤く腫れ上がって痛みが出ること と同じことです。

多勢に無勢では戦いに負けてしまうので、免疫細胞は異物を排除するために仲間(免 疫細胞)を呼び集めるための様々な信号や物質を出します。その信号は血管内皮細胞 と呼ばれている血管を内張している細胞に届いて、血管内皮細胞は仲間の免疫細胞に 対して援軍を要請する合図(ICAM因子)を出します。

免疫細胞は血管内を回っているので、血管の内張の血管内皮細胞に出ている合図 (ICAM因子)をたよりに、炎症の存在、すなわち異物のある場所を確認します。その 際、免疫細胞はLFA-1と呼ばれる手のようなものを使って、ICAM因子を認識します。 細胞の表面には、数百というたくさんの種類の手がありますが、免疫細胞のLFA-1 はICAM因子としか結合しません。このLFA-1とICAMの結合が免疫細胞を刺激して、結 果として炎症をさらに強くするのです。

私たちの体は、細菌などの外敵から免疫細胞の働きで守られ、その結果として生じる 現象が炎症なのです。この炎症が外敵に向いている分にはありがたいのですが、自己 免疫性疾患のように自分の組織を免疫細胞が攻撃すると、病気の原因を作ってしまい ます。

加齢の典型的な病気である動脈硬化の場合、酸化コレステロールが血管壁に沈着し、 免疫細胞がその酸化コレステロールに反応して炎症が生じることによって生じます。 コレステロールが長年高くて、炎症が慢性化すると、徐々に血管が固くなり動脈硬化 が完成し、同時に血管の中も傷ついて血栓ができるようになるのです。

—-老化は炎症をまず食い止めることからですね

早田:LFA-1とICAMがくっつかなければ炎症は起きません。薬でLFA-1とICAMをくっ つくことができなくすると、多くの炎症性疾患がなおることが証明されています。

ところが、困ったことに、私たちの研究では、年をとればとるほど人の免疫細胞表面 のLFA-1が増えることがわかっています。すなわち、年をとれば取るほど、炎症が起 きやすい状態になっているということなのです。LFA-1が炎症を誘発する因子であり、 炎症が老化や加齢に伴う疾患を進行させるので、加齢とともに増えるLFA-1を老化因 子と呼んでいいのではないでしょうか。

魚油は動脈硬化の進行を抑制していることが判っています。その機序としては、魚油 に多量に含まれているイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が血管内 皮細胞のICAM因子を抑制するように作用し、このことが動脈硬化の進行を抑制してい る原因ではないかとも考えられているのです。

すなわち、免疫細胞を呼び寄せるICAM 因子が減るために、免疫細胞のLFA-1がICAMと結合する機会が減り、そのために炎症 が起きにくくなり、動脈硬化が進行しにくくなっているのではないかと考えられるの です。

であるならば、老化因子であるLFA-1を減らすことによって、EPAやDHAと同じ様に動 脈硬化などの生活習慣病を予防できる可能性が高い訳です。問題はLFA-1をどうすれ ば減らせるかですが、私達は納豆や発酵食品に多く含まれるポリアミンに着目してい ます。

ポリアミンには抗炎症作用があるということを私達は1997年にLancetなど に発表しています。さらに、2005年には、ポリアミンが人の体内でリンパ球表面 にあるLFA-1を抑制しているという事実を医学雑誌(J.Immunol)に報告しています。

—-高齢者ではポリアミンが作られにくい

早田:ポリアミンは全ての生物(微生物、植物、動物)の細胞内で、アミノ酸の一種である アルギニンから合成されます。発見されたのは1678年。その後、ずっといろんな研究 がされていますが、判っていたのは、この物質がないと細胞は増殖できず、生物は成 長できないということです。ですから、成長期には活発に合成されます。

ところが、年をとるとポリアミンの合成能が低下します。ラットを使った実験で、老 齢ラットと若いラットを絶食にし、ポリアミン原料であるアルギニンも与えない状態 にした後に、餌を与えました。そうすると、食餌を始めたとたんに若いラットはポリ アミンをどんどん作ることができたのですが、老齢ラットはポリアミン合成が低下し たままだったという実験結果が報告されています。

—-ポリアミンがエイジングのカギを握るというわけですね

早田: これまでの大規模疫学調査で、動物の肉より魚を多く摂る、動物の脂よりも魚 油や植物油を多く使う、穀物やフルーツや豆類、それからチーズやヨーグルトをよく 食べる、こういう人たちは動脈硬化になりにくく、健康で長寿であると報告されてい ます。

魚の肉にはポリアミンは少ないですが、魚油にはEPAやDHAといったICAM因子をあがり にくくする物質が多量に含まれており、魚や魚油や植物油を好んで摂取する人は、炎 症が起きにくくなっていると考えられます。

では、魚以外の食物、すなわち、豆類、チーズ、ヨーグルト、それと穀物やフルーツ などの食物繊維に共通しているのはなんでしょう。じつは、これらの食物に共通する のが、ポリアミンなのです。

豆類には原則的に高濃度のポリアミンが含まれており、高ポリアミン食の代表格とい うと、自然食品では大豆です。昔から健康によいといわれているキノコ類もポリアミ ンが多く含まれている食品の一つです。また、微生物による発酵過程でポリアミンが たくさん作られます。 つまり、原料にポリアミンが含まれていなくても、発酵食品に は発酵の過程で多量のポリアミンが増えることになるのです。

牛乳にはポリアミンは 殆ど含まれていませんが、牛乳を発酵させてつくったチーズや発酵の進んだヨーグル トには高濃度のポリアミンが含まれています。当然、もともとポリアミン濃度の高い 大豆を発酵させて作った日本の伝統食品である味噌、醤油、納豆はポリアミン濃度が 最も高い食品です。

世界最高の長寿国である日本の中でも、最も長寿な沖縄の人達は、泡盛を作る時にで きるもろみ(黒麹菌の発酵による米麹)を昔から料理に使っています。このような発 酵物質の中には多量のポリアミンが含まれています。

野菜は意外とポリアミンが少 ないのですが、食物繊維があると腸内細菌の微生物の発酵を促してポリアミン合成を 促進します。また、乳酸菌飲料を飲み続けることによって、ポリアミンを活発に合成 し続ける新鮮な乳酸菌を増やし、体内にポリアミンを供給し続けているのではないか と考えられています。

納豆は、高ポリアミン食の要素をすべて持った食品です。すなわち、大豆の発酵食品 で、食物繊維が豊富で、納豆菌が生きたまま腸内に届きます。私達の研究で、人が実 際に納豆を食べ続けると、ポリアミンの血中濃度が上がることが判りました。

このように、これまで、食べ物の健康との関係について大規模な疫学調査でよくわか らなかったことが、ポリアミンで考えると非常にうまく説明できます。

ワインの消費量の多いフランスはイギリスやドイツと比べて動脈硬化が少ないという 疫学調査が出ているといいました。これはワインをチーズで置き換えることもできま す。

すなわち、フランス人はイギリス人の2倍、ドイツ人の1.5倍程度多くのチーズを 食べているのです。そして、その傾向は数十年も変わっていません。すなわち、フレ ンチパラドックスは、チーズの摂取量とチーズに含まれるポリアミンの作用で明確な 説明ができるということなのです。

西洋の人たちの食卓でもっとも高濃度のポリアミンを含む食品はチーズやヨーグルト です。魚が手に入らない山奥でも、健康で長寿の地域は世界にたくさんあります。そ うした地域で登場する長寿のキーワードは、必ずと言っていいほどチーズやヨーグル トです。

—-ポリアミンの作用機序については

早田: 体内に異物が入ってくると免疫細胞は攻撃を行います。腸は体内に異物(食物 はもともと生物である)を入れないために消化という作業で食べた異物(食物)をバ ラバラにします。自分以外のタンパク質などの異物が体内にそのまま入ってきたら大 変なことになるからです。健康によい成分を食べても、有効成分が体内に届かなけれ ば何の意味もありません。

バラバラに分解された栄養分は、自分の体の中で必要なものに再合成されます。つま り先ほどのラットの実験ではないのですが、高齢者が若年者と同じ原料を、たとえ多 く食べたとしても、若年者と同じものは合成されません。無駄にカロリーを増やして いるだけです。

ポリアミンは分子量が小さいですから、すぐに吸収されます。特に、スペルミンとス ペルミジンを分解する酵素は腸管の中にないので、腸内にあるものは、そのままほと んど全部吸収されます。また、食物中や発酵菌が作ったポリアミンと私たちの体内の ポリアミンは共通なので、体内で自分の体に合うように再合成される必要もなく、体 中の細胞に取り込まれることが証明されています。

先に述べたように、ポリアミンが人の体内でリンパ球表面にあるLFA-1を抑制してい るという事実を私たちは発見しました。そこで、実際に人の血液からリンパ球を取っ て、ポリアミンを加えるとどうなるかということを検討しました。

そうすると、ポリ アミンを多く含んだリンパ球のLFA-1が徐々に減ってくることを確認しました。しか も、このLFA-1の減った免疫細胞は、血管の内張の細胞である血管内皮細胞へくっつ きにくくなったのです。すなわち、炎症の最初の重要なステップが起こりにくくなっ たのです。

動脈硬化を例にとると、免疫細胞のLFA-1が少なければ酸化コレステロールが血管壁 に沈着しても炎症が起きにくくなります。すなわち動脈硬化が進行しにくくなります。

ポリアミンが細胞に悪い作用をしてのではないかと考える人もいるでしょう。そこで、 私たちは、ポリアミンの濃度が高くなった細胞がどのような状態なのかを検討してみ ました。そうすると、NK活性という免疫の見張り番は、過酷な状況においても高い活 性のまま維持され、強い刺激にはむしろ強力に反応することがわかったのです。すな わち、高齢者の免疫細胞にポリアミンを取り込ませることによって、若い人の免疫細 胞の状態になったのです。

—-エイジングにはポリアミンでまずLFA-1対策をということですね

早田: LFA-1を抑制すると、炎症性疾患やアレルギー疾患が治せるということが判っ ています。ただし、LFA-1を完全になくしてしまうと免疫機能がまったく働かなくな り、細菌等が体内に入るとあっという間に大増殖します。ですから強制的に薬 でLFA-1の機能をなくすことは好ましくありません。しかし、ポリアミンは自然の物 質です。しかも、ポリアミン濃度の高くなった免疫細胞は、何かことがあった時に活 発に働く非常に目的にかなった物質です。

ポリアミンはLFA-1という老化因子を抑制して炎症を起こりにくくします。また、ポ リアミンには、放射線障害から遺伝子を守る働きのあることも報告されています。実 は、抗酸化作用のあることも判っていますが、最初に述べた理由で、抗酸化作用自体 はあまり重要視していません。

日本人はポリアミン濃度が自然食品の中で最も高い大豆を発酵させてさらにポリアミ ン濃度が高くなった食品(味噌、醤油、納豆)が長年食生活の中心になっています。

LFA-1という因子はアレルギー疾患も誘発する因子です。昔の日本人には花粉症など のアレルギー疾患はあまりありませんでした。どんなに貧しい時代でもポリアミン濃 度の極めて高い大豆の発酵食品を手放さなかった日本人が世界中で最も長寿であると いうことは、ポリアミンを基本にして考えるとごく当然の様に思えます。

プロフィール
早田 邦康(そうだ くにやす)

<略歴>
1980年3月、自治医科大学医学部卒、同年5月医師国家資格取得。同年 6月、へき地医 療勤務のため、佐賀県のへき地などに9年間配属。1989年6月より同大大宮医療セン ターの総合医学2勤務。1996年から1年間、ニューヨークのThe Picower lnstitute for Medical Researchに留学。現在、自治医科大学にて、ポリアミンと免疫の研究を 行なう。