年齢による体の違い(筋肉)

工務店を退職後、以前より習っていた「推拿」を武器に整体院をひらいて、早、13年目に入った。お陰様で大勢のお客様においでいただき経営は順調である。開業当初の記録などから当時を振り返って、整体師になってわかったことをいくつかご紹介したい。

整体師になってわかったこと-その1
人間の体は年齢に相応して大きな違いがある。
一例は、筋肉の硬さだ。
筋肉の硬さには、疲労、血流障害によるコリと、老化によるコラーゲンの劣化の硬さの2種類ある。
年齢による違いは、コラーゲンの劣化=老化(=糖化)による硬さの違いである。
たとえば、20代の若者は肩こりや腰痛等、辛い症状を訴えて来店されても、筋肉には部分的にコリはあるものの全体が柔らかく、一見、ぅむ・・・この人どこが悪いの?と思ってしまう。注意深く触ると確かに硬結があり、そこを押すとものすごく痛がられる。
しかし、70代のひとは全身が20代の若者の硬結の何倍も硬いのに、強く押圧しても痛がらないのである。
整体を始めたころの未熟な時には、この違いを理解できなかったのであるが、いまは様々な経験からその理由を理解できるようになった。
一言でいえば、時間をかけてゆっくりと悪くなった状態は、脳は自分の体が「状態が悪い」とは思っていないのである。
体が悪いとの認識を持っていないから、押しても痛がらないのである。
もちろん、認識がないから、悪いところを治そうともしない。すなわち、ホメオシタシス=自然治癒力が働いていないのである。
したがって、年配の人は一発完治は難しいのである。
あえて一発完治をめざすなら、その人の脳に、自分の認識が間違っていたと明確に認識していただく必要があるのだ。

糖化(glycation)が体に及ぼす影響

糖化とは

「糖化」とは、糖と、たん白質に熱が加わることで結びつき、見た目が褐色に変化することである。食品加工の上では風味付けや色付けなど様々に有効利用されてきた技術である。
糖化は体の中でも起こる反応である。つまり、食事でとり込まれた糖質(炭水化物)は血液中のブドウ糖=血糖になるが、体の各組織をつくるたん白質とともに体温によって加温されることでゆっくり結合し、糖化反応が起きる。糖化は食品加工の上で利用価値の高い化学反応であるが、これが体の中で起きてしまうと、様々なダメージを与えてしまう。
体の中で糖化が起こると体の組織をつくるたん白質に変化が起こり、食品同様に茶色くなる。また組織が硬く、もろくなるため、たん白質の機能にも影響が現れる。最終的には糖化反応によって糖化最終生成物・AGEs(エイ・ジー・イーズ/advanced glycation endproducts)が生成する。AGEsとは、1つの物質の名称ではなく様々な種類の化合物の総称であるが、これが一旦できてしまうと元には戻らず、体に蓄積されていって、それがさらに悪影響を与えてしまうことになる。体内の糖化では、このような現象が起きて、健康面あるいは美容面でも様々な問題を引き起こしてしまう。
また、AGEsは糖の影響だけでなく、飲酒や喫煙、脂質の過剰摂取といった様々な要因によっても生成されることがわかっている。

AGEsが蓄積するという変化が人の体内で起こってくるとどうなるのか、各部位の変化を挙げてみよう。

糖化(glycation)が体に及ぼす影響

皮膚色の変化
たん白質が茶色くなる変化は皮膚の黄褐変としてあらわれる。つまり肌のクスミ(黄ぐすみ)が進んでしまうことになる。

肌の弾力・ハリがなくなる
皮膚を構成するコラーゲン繊維を顕微鏡レベルで見ると“三重らせん構造”を持っている。コラーゲンは、このバネ構造によって弾力を維持している。しかし、コラーゲンたん白が糖化すると、繊維と繊維の間をつなぐ “悪玉架橋”とよばれる邪魔物が無秩序に形成され、繊維でできたバネ構造がガチガチに固定されてしまう。その結果、繊維の可動性やしなやかさが失われ、弾力性が低下しハリがなくなって、硬くなってしまう。

動脈硬化の原因に
いわゆる悪玉コレステロールであるLDL-Cは、通常なら白血球のマクロファージが食べて分解し、消してくれるが、LDL-Cが糖化してAGEsが溜まった状態になるとマクロファージが食べても分解しきれずに“泡沫細胞”という状態になって血管の内壁に蓄積する。これがアテロームという粥状の塊を形成して動脈硬化を招いてしまう。

組織の炎症
糖化によってできてしまったAGEsは、蓄積するばかりでなく、“RAGE(レージ)”と呼ばれるAGEsの受容体と結合し、炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)を生み出す。これにより、組織は炎症を起こしやすい状態になってしまう。

この他にも、骨で糖化が起これば骨粗鬆症、脳でのAGEs蓄積がアルツハイマー病にも関与するなど、糖化ストレスは全身に影響を及ぼし、生活習慣病や老化につながっていくものと考えられている。

糖尿病
また、糖尿病との関連で言うと、糖尿病は糖の代謝機能が低下して血糖値が一定の基準を超えて高い状態を示す病気であるから、高い血糖値が糖化を促進し、末梢神経障害や腎症、網膜症といった合併症を進行させてしまう。
糖尿病は、血液中の糖分がうまく肝臓や筋肉脂肪等の細胞内に貯蔵されないために、血液の濃度が高くなっている病気であるから、血管をはじめとして血液を供給されている体のいろいろな臓器は高い糖にさらされていることになる。
たんぱく質は糖に接触すると変性する性質があり(これを糖化という)この糖化により、体内では、主に血管が変性、大きな血管や小さな血管が動脈硬化や変性を起こし臓器の障害がもたらされる。
三大合併症(眼、腎、神経)
1. 血管障害
2. 感染(高い糖濃度の血液が、菌を繁殖しやすい状態を作る)
糖尿病における糖化の進展はとても深刻な問題と言える。糖尿病の予防、治療の基本は血糖コントロールであり、それは糖化ストレスへの対策と重なるものだ。つまり、アンチエイジングにおける糖化ストレス対策は、糖尿病の予防に直結するものである。

筋肉硬化による血流障害
血管と筋肉は隣り合わせに存在するが、筋肉もまた糖化によりコラーゲン(筋肉成分の1/3がコラーゲンである)が硬化し、血管を圧迫する。特に脊柱起立筋群の糖化は大動脈、大静脈を圧迫し、全身の血流を阻害する。これが冷え性であるが、頭痛、肩凝り、腰痛、生理痛、ひざ痛などは、筋肉糖化による血流障害の影響が大きい。

糖化(glycation)とは

糖化反応(glycation)は1912年にLC Maillardがアミノ酸と還元糖を加熱すると褐色の色素が生成することを発見したことから、メイラード反応として知られるようになった。
発見以来、糖化反応は食品の加熱中に起こる着色や、香り・風味の変化、保存期間中の栄養価低下に関わる反応であることから食品化学の領域で注目されてきた。

1960年代になると、生体反応としてタンパク質糖化反応が注目されるようになり、その代表的な生成物としてヘモグロビンA1c(HbA1c)が血糖コントロール指標として糖尿病治療領域で臨床応用されるようになった。また糖尿病では様々なタンパク質糖化反応生成物が合併症の進展に関与していることが明らかになり、病態生理の解明・予防・治療への研究が展開されている。
さらに近年、糖化反応は老化現象、認知症、癌、高血圧、動脈硬化症などにも関与していることが明らかになり、食品、糖尿病以外の新たな分野でも研究展開されている。
私たちのエネルギー源としてブドウ糖は重要である。ブドウ糖はエネルギーになるだけではなく、その分解産物から脂肪が出来たり、タンパクや核酸(遺伝子の成分)になったりする。さらに脳はエネルギー源としてブドウ糖しか使えないので(糖質が少ないのが常態化すると、肝臓でケトン体を生成し、それを使う)、ブドウ糖が急激に少なくなると意識を失い、場合によっては死亡する。
このように生存に大きな役割を果たしている物質であるブドウ糖は同時に体の成分と結合して、その構造を変えてしまう。結合したものを糖化物質という。例えば皮膚のコラーゲンが糖化すれば、褐色になる。老人の皮膚が褐色に見えるのはこのためである。また白内障の白い部分は糖化したレンズのタンパクである。このようにブドウ糖は細胞の成分を糖化して機能を異常にさせる。
酸素もブドウ糖の生存に欠くべからざるものであるが、それが同時に老化を起こす物質なのだ。このように考えると生きてゆくということ自体が死に向かっているということである。
 具体的には 身体の中でタンパク質と余分な糖が結びついてタンパク質が変性、劣化してAGEs(糖化最終生成物)という名の老化物質を生成する反応をいう。この老化物質AGEsは分解されにくく、そのAGEsの蓄積は肌や髪、筋肉、血管、骨など全身の老化を進行させ、さらに体調不良や様々な病気(肩凝りや腰痛、頭痛、ひざ痛をはじめ、糖尿病、高血圧、がん等々)のとなる。身体の臓器や組織を構成しているタンパク質と糖分の不規則な結合(糖化)によって産まれるAGEs(Advanced Glycation Endproducts:最終糖化生成物)は、タンパク質の褐色変化(硬化性変質)を引き起こすことで老化を加速させ、上記のように骨粗しょう症のほか様々な病気(糖尿病、高血圧症、がん等々)をもたらすことが近年の研究でわかってきた。血管、筋肉もたんぱく質(筋肉の1/3はコラーゲンで出来ていてコラーゲンの硬化は不可逆性である)で出来ており、コラーゲンが糖化すると不可逆性であるため、動脈硬化や筋硬化症は元に戻ることはない。特に表情筋(顔の筋肉)は2/3がコラーゲンで出来ているため、顔の皺は元に戻ることはないのである。
ヘモグロビンA1cが指標として用いられることでお分かりだろうが、米や麦、甘いお菓子の取りすぎが、肩凝り、腰痛を招いているのである。西洋人のようにインシュリンの効きの良い体質の人は肩凝り腰痛とは無縁である。(その代わりに肥満体ではあるが)これは糖質を摂取した歴史の長さの違いである。西洋人がシリアのチグリス・ユーフラテス川沿いで麦の栽培を始めたのが1万2千年前であるのに比べ、日本人が米を食べ始めたのは弥生時代、つまりほんの2,400年前である。歴史を知らず、日本人は農耕民族だなどと言う人がいるがとんでもない間違いである。
農耕の歴史は西洋人の方が4倍長い。つまり、時間がインシュリンの質を良くしたのである。インシュリンは余った糖を脂肪に変えるホルモンであるから肥満体になるのはやむを得ない。どちらが良いかは何とも言えないところだ。

老化のメカニズム

老化のメカニズムが一つ解明!原因は遺伝子の「メチル化」、老化を遅らせられる物質も判明

細胞の中で酸素からエネルギーを生産するミトコンドリアは、細胞の核のDNA(デオキシリボ核酸)の変化によって機能が落ちるとの研究成果を、筑波大などのチームが英電子版科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。
ミトコンドリアの機能低下は老化が進む一因と考えられており、今回の発見は「細胞の若返り」の研究に役立つ可能性があるという。

ミトコンドリアの機能低下はこれまで、加齢によってミトコンドリア自体のDNAが突然変異を起こすことが原因とみられていた。
しかし、チームが胎児~12歳、80~97歳の2グループから提供を受けた体細胞を分析すると、ミトコンドリアDNAの突然変異に年齢による差はなかった。

一方、高齢グループの細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作ると、エネルギーを作る機能が回復した。
iPS細胞では、細胞核の時計を胎児のような状態に巻き戻す「初期化」が起きている。
初期化してもミトコンドリアDNAの突然変異は消えないため、機能低下は細胞核の遺伝子が「メチル化」と呼ばれる変化をしたのが原因だと結論付けた。

さらに、機能低下した細胞にアミノ酸の一種「グリシン」を加えると、機能が一部回復することも確認された。
チームの林純一・同大特命教授(細胞生物学)は「グリシンを摂取すれば老化を遅らせることが期待できるが、がん細胞を増やすとの報告もあり、慎重に研究を進めたい」と話す。【去石信一】 出典;下記↓

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150609-00000032-mai-sctch